基本事項の決定(目的、公告方法)について

目的の決定

定款及び登記事項の「目的」とは、会社が行うことができる事業の範囲の定めのことです。

事業計画書における「ミッション」や「ビジョン」「事業コンセプト」等と異なり、設立の動機や、理念、ニーズ、目標等は記載しません。ここで記載するのは、例えば、「飲食店の経営」「不動産賃貸業」「民芸品・工芸品の販売」「金属表面処理加工」など、他人が一目見て、この会社は何の業態なのかがわかる記載です。

これは、知らない者同士でも、登記事項を見れば相手方を一定程度把握ができ、円滑に取引できるように「取引の安全」を図る機能を持たせている、ということがあります。

目的の記載にあたっては、以下の基本原則とポイントがあります。

 

 基本原則 

●適法性

法令や公序良俗に反するものは、目的にできません。

●明確性

予備知識がない人でもわかるように、一般に広く使われている言葉でなければなりません。

なお、広く使われているかどうかの基準は、時代とともに変化するものであり、例えば、「SNS」の言葉の使用は、通った事例が報告されてますが、20年前はまだ駄目だったでしょう。

●営利性

会社は営利法人のため、非営利活動のみを目的とすることはできません。(営利事業以外に、非営利活動を目的とすることは問題ありません。)

 

 目的を検討する際のポイント 

① 何でもかんでも含めようと多く書きすぎない

他人が見てわかりやすい記載が求められます。この会社は一体何が本業なのか、どのような運営体制・経営資源配分が行われているのか、不安になるような記載をしてしまうと、融資を受けるときや、取引の際の信用に、悪い影響を及ぼす可能性があります。

 

②将来の事業展開を見据える

目的の変更・追加・削除には、定款変更手続きや変更登記のために、時間と費用が必要となります。記載した目的は、今すぐに実施しなければならないわけではないため、ある程度、将来の事業展開も予測し記載するとよいでしょう。

 

③ 許認可等が必要となる業種の場合は、目的への記載を確認する。

許認可等が必要な場合、目的に当該許認可業種の記載をしておかないと、許認可等はおりません。また、どのような言葉を使用して記載しなければならないかの確認も必要です。

 

 

公告方法の選定について

公告の方法は、①官報に掲載する方法、②日刊新聞紙に掲載する方法、③電子公告、の3つの方法から、定款で定めることができます。定款で定めなかった場合は、①官報に掲載する方法 になります。

計算書類の公告(決算公告)が有名ですが、決算公告以外にも、主に以下ような場合に公告が必要となります。

・反対株主の株式買取請求公告

・債権者異議申述公告

・基準日設定公告

・単元株式数の変更公告

・株券提出公告  等

 

※なお、合同会社については、決算公告は不要です。

 

 公告費用について 

●官報

掲載する文量によって料金が変わりますが、一般的には、約6万円程となります。

 

●日刊新聞紙

新聞社によって料金が変わりますが、官報に比べてかなり高額です。(およそ数十万円以上)

 

●電子公告

「掲載料」について、自社HPならゼロ円、他社インターネット公告サービスを使用しても、官報より低額で済みます。

ただし、決算公告以外の公告については、電子公告をしたことを証明するための、国指定の調査機関による調査通知書(証明書)が必要となり、その費用は、数万円~数十万程度となっているようです。

※なお、会社登記では、電子公告を掲載するURLも登記事項となることから、事前にURLを準備しなければなりません。

 

 それぞれのメリット等 

決算公告とそれ以外の公告とで比較のポイントが異なります。しかし、上場会社でない場合、決算公告以外の公告は実施頻度がほとんど無いと思われ、ここでは決算公告の事案のみで考えます。

なお、決算公告は、任意で行えば良いものと勘違いされている方がたまにいらっしゃいますが、法律上の義務であり(ただし、合同会社は決算公告不要)、義務違反には、罰則(100万円以下の過料)の規定があります。

 

●費用について

安い順に、電子公告 < 官報 < 日刊新聞紙、の順番になります。

なお、決算公告以外の場合、電子公告には調査機関による調査費用が必要なため、

官報 < 電子公告 < 日刊新聞紙 となるでしょう。

 

●掲載内容について

官報及び日刊新聞紙で決算公告を行う場合、貸借対照表(大会社は、+損益計算書)の要旨のみで足り、全文を掲載する必要はありません。

一方、電子公告では、要旨では足りず、全文を掲載しなければなりません。

 

●掲載期間について

官報及び日刊新聞紙では、一回掲載されると完了です。

一方、電子公告では、5年間経過する日まで、インターネット上に掲載しつづけなければなりません。

 

 

 組み合わせることも可能 

例えば、定款で、公告方法を官報に掲載する方法と定めて、決算公告のみについては電子公告で行う、という複合的な方法が法律上認められています。

 

費用面を重視するなら、決算公告は電子公告、それ以外は官報とすることが、最も費用が安くすみます。ただし、電子公告は、詳しい内容が多くの人の目に触れやすくなります。

 

※なお、電子公告の場合、登記申請前に、事前に、決算公告を掲載するURLを準備しておく必要があります。

 

 

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