基本事項の決定(発起人、商号、本店所在地)について

発起人の確定

発起人とは、会社の設立を企画し、定款に署名または記名押印する者をいいます。

発起人は、必ず1株以上の株式を引き受ける必要があり、設立時の最初の株主になります。なお、発起人の数・資格に制限はなく、1人いれば足り、法人もなることができます。

 

 2つの設立方法 

会社の設立の方法として、「発起設立」と「募集設立」の2つの方法があります。

発起設立とは、発起人が、設立時発行株式の全部を引き受けて(出資し)設立する方法で、募集設立は、発起人が設立時発行株式の一部を引き受け(出資し)、残りの株式については引受人の募集を行って設立する方法をいいます。実務上、発起設立の方法で設立されることが、ほとんどです。

 

 発起人の権限及び責任 

設立に関する事項について、発起人が決定権限を持つ事項も多くあります。また、設立手続きにおいて、第三者へ損害を与えてしまった場合には賠償しなければならないなど、設立に責任を持っています。

 

 

商号の決定

会社の名称(会社名)のことを商号といいます。商号の決定にあたっては、以下に注意しなければならず、あらかじめ調査が必要な事項もあります。

 

 使用文字 

商号には、漢字、ひかがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字は使用できますが、記号や符号は、一部のものしか使用が認められていないので、注意が必要です。

※使用できる符号:「&」「’」「,」「-」「.」「・」(先頭・末尾は不可などのルールあり)

 

 商号選定のルール 

以下に該当する商号は、つけることができません。

・公序良俗に反するもの

・会社の一部門であるかのような表記(「〇〇営業部」等)

・他の種類の会社・法人であると誤認させるもの(株式会社なのに「〇〇有限会社」「財団法人〇〇」等)

・既に登記されている他の会社と、同一商号かつ同一住所

・不正の目的をもって、他の会社であると誤認させるもの

・他人の商号と同一または類似の商号の使用により、他人の営業と混同を生じるもの

・他人の商標権を侵害するもの

 

 

本店の所在地の決定

本店所在地の決定にあたり、定款への記載は、最小行政区画(市区町村)まででも構いません。なお、登記事項としては、所在場所まで求められます。

 

 最小行政区画までにするメリット 

最小行政区画までの記載にとどめるメリットは、設立後、本店を移転した場合に、移転前後で同区画内であれば、定款変更が不要なことです。

一方、所在場所まで記載するメリットとして言われていることは、所在場所を別途決議する必要がなくなり、設立の際の手続書類を減らせるということですが、あまり大きな影響ではないと思われます。

 

 所在地を決定する際の注意点 

本店所在地をどこに置くか、また、登記上の本店所在地と、事業活動を実際に行う場所が異なる場合(例えば、自宅等を本店所在地として登記し、実際には別の場所で事業活動を行う)など、以下の点に注意が必要です。

 

●法人住民税及び法人事業税(地方税)について

法人税(国税)は、全国どこでも税率は変わりませんが、地方税は、地域ごとの条例の定めによって、税率が異なる場合があります。

法人税の納税地は、本店所在地の管轄税務署ですが、法人住民税及び法人事業税は、各事務所・事業所が存在する、それぞれの管轄都道府県税事務所・市区町村となります。複数の事務所・事業所があれば、原則(※)、それぞれの都道府県税事務所・市区町村へ申告手続きが必要です。

※「事務所及び事業所」に該当するか否かの判定基準というものがあります。例えば、登記上の本店所在地には事業実態が無いなど、都道府県税事務所・市町村が、事務所及び事業所に該当しないと判定した場合、申告手続きが不要となります。

 

●自宅を本店所在地とする場合について

登記では「〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号」などの、具体的な所在場所の記載が必要です。登記事項が記載された登記事項証明書は、法務局で所定手数料を支払えば誰でも取得することができ、所在場所を調べることできます。(なお、代表者の住所も、同様に登記事項となっています。)

マンション等に住んでいる場合は、管理規約で、「居住用」以外の使用を禁止している場合が多く、本店所在地とすることが管理規約違反となることがあります。

 

●バーチャルオフィス等を本店所在地とする場合について

自宅を本店所在地とする際の問題を回避するために、登記可能なバーチャルオフィス等を借りる方もいます。その際の問題点として、以下があるのでご注意ください。

・事業実態がないことによる上記法人住民税及び法人事業税の手続きの問題

・銀行等口座開設ができないことがある

・銀行等の融資審査が通らない(通りずらい)ことがある

・許認可が必要な場合に、許認可要件を満たさないことがる

 

 

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