【施策情報】国土交通省・国土審議会「所有者不明土地の円滑な利用を可能にする制度等について」中間とりまとめのご紹介

投稿日:2017/12/13

 

国土審議会土地政策分科会特別部会による、

「所有者不明土地の円滑な利用を可能にする制度等について」

の中間とりまとめが、平成29年12月12日に公表されましたので、その概要をご紹介します。

 

※国土交通省ホームページ本中間とりまとめ公表サイト

http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo02_hh_000105.html

 

「所有者不明土地」とは 

国土審議会土地政策分科会特別部会では、不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者に連絡がつかない土地を「所有者不明土地」として、検討が進められています。

(例)

●台帳が更新されていない、あるいは台帳間の情報が異なるため特定が困難。

●所有者が特定できても、その所在が不明。

●相続登記がされていないなど、相続人の捜索が困難。

●台帳に、全ての共有者が記載されていない。 等

 

 所有者不明土地の現状 

地籍調査(28年度)において、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地の割合は、概ね20%程度 (所有者不明土地の外縁)。さらに、探索の結果、最終的に所有者の所在が不明な土地は0.41%(最狭義の所有者不明土地)存在するとのことです。

 

 所有者不明土地に関する課題 

所有者不明土地となってしまったために、以下のような支障事例が生じていることが報告されています。

(事例)

●1人の登記名義人から相続により権利者が多数にふくらんだため所有者が特定できず、公共事業用地の取得に多大な時間と労力を要した。

●公共事業用地について、登記名義人が解散した法人となっており、所有者が不明なため、事業着手が困難となっている。

●広場等として利用の意向がある土地について、地権者約40名の土地が相続登記されておらず、 所有者の所在が不明となっているため利用の方針を立てることができない。

●土地に家電製品等が大量に投棄されているが、土地所有者の住所が不明で所在が不明なため、確認ができず、自治体で処分ができない。

●台風被害により崩れた急傾斜地への対策工事について、緊急に実施する必要があるが、相続人多数、かつ、一部相続人の特定ができないため、着手が困難となっている。

 

このように、利用したくても、探索に時間・費用を過大に要するケースが存在し、さらに、利用意向の無い土地については、長期間管理されず荒廃するケースも存在しているとのことです。

 

 所有者不明土地を円滑に利用するための制度の方向性について 

本中間とりまとめでは、所有不明土地を円滑に利用するための以下のような方向性が示されています。

 

1.所有者不明土地を円滑に利用する仕組み

 

(1)収用手続の合理化・円滑化

反対する所有者がおらず、建築物がなく現に利用されていない土地の場合、土地収用法の特例を設け、審理手続きの省略等を可能にすること。

 

(2)収用制度の対象とならない公共的事業への対応

反対する所有者がおらず、建築物がなく現に利用されていない土地の場合、都道府県知事が公益性等を確認し、一定期間の公告により、一定期間の利用権を可能とし、また、所有者が現れ明渡しを求めた場合には期間終了後に原状回復、異議がない場合は延長可能とすること。

 

2.所有者の探索を合理化する仕組み

原則として、登記簿、住民票、戸籍など、客観性の高い公的書類を調査し、さらに、固定資産課税台帳、地籍調査票、インフラ業者保有情報など有益な所有者情報を行政機関等が利用することを可能にする、一方、聞き取り調査の範囲を親族等合理的な範囲に限定し、その結果所有者が判明しない場合には、所有者不明土地として取り扱い、円滑利用を可能とすること。

 

3.所有者不明土地の適切な管理のための措置

財産管理人の選任申立権を地方公共団体の長等に付与すること。(民法の特例)

 

4.地方公共団体や民間主体への支援・サポート

 

(1)地方公共団体に、国等が有する用地取得事務のノウハウ等を提供すること。

 

(2)所有者不明土地を利用しようとする民間主体に、地方公共団体が助言や専門家の斡旋を行う取組を促すこと。

 

(3)長期相続登記等未了土地の解消のため以下の措置を行うこと。(不動産登記法の特例)

 

●登記官が、長期相続登記等未了土地を特定し、職権でその旨を登記に記録する。

●相続人を調査し、必要な登記手続を促す。

 

 

所有者不明土地問題は、私有財産制と公共の福祉が絡む難しい問題であり、今後の議論にも注目していこうと思います。